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「多崎つくる」というキャラクターは非常に村上春樹らしい造形をしていると思う。
もちろん、作者がそうなんだから言うほどのことでも無いが、最近とみに思うのである。

好きでも嫌いでもない村上作品を数年ぶりにとって読んだわけだが、結果は、何も変わらず好きでも嫌いでも無いのである。
読みやすいから箸休めにはちょうど良いというほめ言葉も添えて。

相変わらず、無色透明な人物が淡くファンタジーな世界をゆらりゆらりとたゆたう。
読者の多くは女性なんだろうなと思う。


閑話休題。
さて、この本のタイトルは非常に自分好みだ。
中途半端な年の自分は、最近、まさにこのタイトルのような生活を送っている様な気がする。
自分に色が無いということを自覚し、その色とはなんだろうということを考えながらさまよい歩くのである。
一つの考え方としては、色とはオリジナリティのようにも思うし、パパとかのような属性であるかの用にも思う。
そうなってくると、オリジナリティも属性もそのために獲得するものでは無くて良いとおもうし、そうすれば結果できることと言えば、何かを求めるというよりは、訪ねさまようということだ。
その訪ねさまよう様が巡礼のような気がする。
それを続けることによって何かものになることは無いが、いつの間にか、ちょうど良い場所に導かれる様な気もする。
その結果は、色の獲得ではないけれども、色などという価値観を必要としない自己形成だろう。


最近は悪意の無い生殺し、飼い殺しの刑に処されているように思うので、その状況の改善を望む次第だ。
そのために、相手にプレッシャーを与えたり、きっぱりとノーと答えることは、人間関係を形成する上で、必要な行いだ。
いろいろな人と色々な力関係を形成しているが、その力関係をある種破壊する自己表現は、相手に意思を明確に示せるので、一部の理解の無い人を怒らせはするが、多くの人には受け入れられるものであるように感じる。


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